『インポスター症候群』へと陥った社員に企業ができること
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インポスター症候群とは、客観的な成果や評価を得ているにもかかわらず、自分自身を過小評価してしまう心理状態を指します。
1970年代後期に提唱され、複数のハリウッド女優やミシェル・オバマ元アメリカ大統領夫人などもこの症状で悩んでいることを告白したことから、徐々に認知されるようになりました。
男性より女性のほうに多く見られるといわれており、場合によっては業務に支障をきたす恐れもあります。
今回は、インポスター症候群の特徴を踏まえたうえで、企業が取るべきサポートの具体策を解説します。
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インポスター症候群の特徴
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インポスター症候群とは、自分自身の能力が認められず、過小評価してしまうことから、強い焦りや不安、プレッシャーなどを感じる心理状態をいいます。
この症候群の人は、周囲から適切に評価してもらっても「自分の実力ではない」「運がよかっただけ」などと思い込んだり、「役目が果たせることを、もっと証明しなくては」「もっと頑張らなくては」などと自分を追い込んでしまいます。
自分は不十分だと感じることから、高く評価されると、周囲を「だましている(=Impostor)」ような感覚に陥ることから、この呼び名がつきました。
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インポスター症候群は病気や障害ではありませんが、度合いが進むと以下のような状態に陥り、業務に支障を来す恐れもあります。
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・「私なんて」という過小評価のせいで成長を止める
・失敗や評価をおそれ、新たなチャレンジに踏み出せない
・自信が持てず、昇進や昇格の要請に応じられない
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人によってはうつ病や不安障害などの原因にもなるため、注意が必要です。
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インポスター症候群になりやすいタイプ
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仕事や生活への影響が心配されるインポスター症候群ですが、どのような人がなりやすいのでしょうか。
インポスター症候群を引き起こす要因は、大きく二つあると考えられています。
その人が置かれた外的環境と、個人の気質や考え方といった内的環境です。
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●外的環境
・過度な期待やプレッシャーを与えられてきた
・常に周りと比べられ、その人自身を認めてもらえない
・過保護で育てられ、失敗から学ぶ機会がなかった
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●内的環境
・完璧主義
・責任感が強い
・他人を優先して自分を後回しにしがち
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ほかにも、男性より女性のほうがインポスター症候群に陥りやすいとの指摘があります。
日本ではもともと、褒められても「自分の力ではなく周囲のお陰です」と、へりくだる謙虚さが美徳とされてきました。
特に女性に対しては、「出すぎない」「相手を立てる」ことを求める風潮があったといえます。
そこに、女性の社会進出、成果主義へのシフト、男女の不均衡を是正するために女性に優先的に機会を付与する(ポジティブ・アクション)などの社会変化が重なり、自分の役割に悩む女性が増えたのではないかと考えられています。
また、コロナ禍で普及したリモートワークは、職場のコミュニケーションを減少させました。
男女ともに顔を合わせて認め合う機会が減り、自分への評価を実感しにくい環境に置かれていることも原因の一つといえるでしょう。
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インポスター症候群の克服に必要なサポート
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インポスター症候群に苦しむ従業員のサポートや、従業員がインポスター症候群に陥るのを防ぐには、大きく三つのポイントがあります。
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・合理的で客観的な考え方ができるようにする
・自分の能力を正しく理解する
・周りの人の助けを借りる
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企業の具体的な施策としては、「身近なメンター(相談役)を任命する」「上司が肯定的な姿勢で関わる」「小さな成功体験を積み重ねてもらう」の三つがあげられます。
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●身近なメンター(相談役)を任命する
気軽に相談できる体制を整えましょう。
たとえば、新入社員のサポート体制の一環として任命される『メンター』は、相談役として適しています。
メンタルヘルス相談窓口よりも身近で、先輩として気軽に相談できるのが特徴です。
「私なんて」となりがちな新入社員に対し、評価の根拠となる具体的な実績を交えて励まし、自信を回復させることもメンターの役割の一つです。
同様の考え方で、昇進や昇格をポジティブに受け入れられない従業員に対し、モデルとなる従業員から助言を受ける機会を与えるのも有効です。
このような広い意味でのメンター制度の活用を、必要に応じて検討していきましょう。
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●上司が肯定的な姿勢で関わる
インポスター症候群のサポートには、上司の関わり方も重要です。
否定的なフィードバックに偏らず、自信を持たせ、自己肯定感を育む意識が大切です。
部下が発言した際は頭ごなしに否定せず、まずは傾聴する姿勢が求められます。
取り組んできた業務に対し、成果だけを褒めるのではなく、過程段階からの長所を伝えていきましょう。
安心して発言ができるよう、話し合いの環境や雰囲気を整えることも大切です。
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●小さな成功体験を積み重ねてもらう
従業員が前向きに挑戦できそうな範囲の責任を与え、徐々にその難易度を上げていきます。
「失敗してもフォローするから大丈夫」「完璧でなくてもいいから学んでほしい」など、ポジティブな言葉で伴走していく姿勢を心がけましょう。
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海外の研究では、ビジネスパーソンの7割以上がインポスター症候群を経験するとの報告があります。
しかしその認知度はまだ低く、一人で悩みを抱え込んでいる従業員は意外に多いのかもしれません。
まずは社内で、インポスター症候群は誰にでも起こり得る症状であり、会社としてサポートする用意があると周知することからはじめてはいかがでしょうか。
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※本記事の記載内容は、2023年1月現在の法令・情報等に基づいています。
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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/31303?office=Z17DLaHtybU%3D