『ピボット』で事業を転換! そのポイントと最適なタイミング
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近年、事業の方向転換や路線変更を意味する『ピボット』という言葉を耳にするようになりました。
ピボットは『回転軸』や『回転させる』を意味する英語『pivot』が語源となっています。
従来、既存事業とは異なる分野に進出する『事業転換』は多くの企業で行われてきました。
このような事業転換とピボットには、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、ピボットの成功事例を紹介しながら、その言葉のニュアンスや使い方について紹介します。
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事業転換によって成長してきた日本企業
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社会情勢の変化や市場の衰退、トレンドの移り変わりなどによって、企業がこれまでの事業を見直さなければならないことはよくあります。
このような場合に企業が既存事業とは異なる分野に進出することを事業転換といいます。
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事業転換は、新たな製品やサービスを生み出すことで主たる事業を変更することです。
そのため、企業の売上比率が変わるほか、その企業にとって、結果として市場や製品・サービスに新規性があるのも特徴といえます。
事業転換には明確な定義はないものの、主要事業が不振に陥ったり、先々を見たときに市場が先細りであることが予測できたりする場合に行われてきました。
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たとえば、カメラのフィルムや印画紙、写真感光材料の製造などからスタートした富士フイルムは、オフィス向けプリンターやコピー機のリース事業、ヘルスケア事業等へと、長い時間をかけて事業領域を拡大してきました。
同社が発売した使い捨てカメラ『写ルンです』は1980年代から90年代に日本全国で大ヒットとなりましたが、同社は1980年代後期にはデジタルカメラを発表しており、2000年代以降の本格的なデジタルカメラ時代を牽引していきます。
技術の進化とフィルム式カメラ市場の限界を早くから予見し、新たな領域へ開発資源を投じた富士フイルムは、大小さまざまな事業転換を果たしてきた好例といえるでしょう。
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ほかにも、売上の9割を占めていた繊維事業からエレクトロニクス事業とブレーキ事業に転換した日清紡、ミシン事業からさまざまな変遷を辿ってプリンター事業が主力になったブラザー工業など、事業転換によって成功した日本企業は数多くあります。
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そもそも創業時の事業と現在のコア事業が異なる企業は多く、元は花札やトランプの会社だった任天堂、絹製品の会社だったサンリオ、仕立物業の会社だったブリヂストン、コルク栓製造の会社だったマツダ、石鹸やポマードの会社だったロッテなど、枚挙にいとまがありません。
どの大企業もしかるべきタイミングで事業転換を行ったからこそ、今の成功があるといえます。
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ピボットの特徴は、その成長スピード
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では、これらの事業転換とピボットにはどのような違いがあるのでしょうか。
ピボットという用語がビジネスにおいて使用されはじめたのは、IT系企業をはじめとする『新しい分野』の企業でした。
特に事業立ち上げから間もないスタートアップ企業において、すばやくトライ&エラーを繰り返し、実際に事業を動かしながら方向修正をしていくといった取り組みのなかで、ピボットあるいは「ピボットする」といった言葉が使われるようになりました。
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ピボットの成功例として有名なサービスや企業に、音楽ストリーミング配信サービスのSpotify、写真・動画共有SNSであるInstagram、空きスペースの貸し借りサービスAirbnb(エアビーアンドビー)、初期のSNSサービス事業で知られたmixi(ミクシィ)の運営企業であるMIXI などがあります。
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日本発祥の企業であるMIXIは、2004年に完全招待制のSNS『mixi』をリリースし、日本発のSNSとして大きな注目を集めました。
2010年には利用ユーザーが2,000万人を突破するなど隆盛を極めましたが、TwitterやFacebookなど、ほかのSNSの台頭によって衰退していきます。
しかし、2013年にはスマホゲーム市場に参入し、当時リリースしたスマホゲーム『モンスターストライク』を大ヒットさせました。
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また、Airbnbは創業当時、民泊仲介サービスとして、利用者である家主がお客にベッド・アンド・ブレックファスト(宿泊スペースと朝食)を提供するルールにしていましたが、利用者があまり集まりませんでした。
そこで、そのルールを撤廃し、個人同士による空き部屋や空きスペースの貸し借りに変えたところ、利用者が大幅に増えたのです。
事業内容の転換によって世間のニーズにマッチし、事業が好転したよい事例でしょう。
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ピボットを行ったといわれる企業は、ネットワークを通じてサービスを提供するケースが多いのが特徴です。
そのため、富士フイルムや日清紡など、製造業を基盤とした企業の事業転換と比較して、方向修正に関わるコストや期間が大幅に縮小されます。
事業転換もピポットも既存事業を軸にして新たな事業に進出するという点では同じですが、システム開発を主とするピポット企業における事業立ち上げのスピード感は、製造業とは別次元といってもよいでしょう。
さらにこれらの企業はその成長フェーズにおいて、ネットワークの発展により世界中を対象とした展開が行えるため、指数関数的に事業を拡大させていきます。
拡大のスピードと規模感において、事業転換とピポットは大きな隔たりがあります。
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現在では製造業からスタートした日本企業も、急速に進展するAIやビッグデータなどの技術を自社のビジネスに取り入れようとしています。
そのことで、ピボットを成功させた企業に並ぶ、変革や成長スピードを獲得しようとしています。
2008年にリリースされたSpotifyが瞬く間に世界トップの音楽ストリーミングサービスへと成長したように、今後は、富士フイルムや日清紡などの日本企業から新たなサービスが登場し、世界中へ拡大していくことも十分にあり得ます。
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このようななか、今ではピボットに注目する大企業も増え、そういった企業も、ピボットという用語を使い始めています。
ピボットは明確な定義があるわけではなく、事業の『方向転換』『軌道修正』といった意味合いを含む言葉として捉えられています。
技術力という大きなポテンシャルのある日本企業が、今後どのようなピボットを実現し、事業を展開していくのか、そこにどのようなビジネスチャンスが生まれるのか注視していきましょう。
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※本記事の記載内容は、2023年6月現在の法令・情報等に基づいています。
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https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/32343?office=Z17DLaHtybU%3D