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『フリーランス保護法』が成立! 企業が行うべき対応とは?

2023年8月7日

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近年は働き方の多様化や副業がしやすくなったことから、特定の企業や団体に属さずフリーランスで働く人が増えています。
そのようななか、フリーランスの人々が安心して働ける環境の整備を目的に、2023年4月28日に『特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律』(フリーランス・事業者間取引適正化法)、いわゆる『フリーランス保護法』が成立しました。
この法律は、フリーランスで働く人に業務を委託する企業に対し、取引条件の明示やハラスメント対策のための体制整備などを義務付けています。
2023年7月時点で施行日は確定していませんが、施行される前にフリーランス保護法について理解しておきましょう。

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増えるフリーランスの環境を整備する法律

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フリーランスとは法令上の用語ではありませんが、フリーランス保護法第2条では『特定受託事業者』として定義されています。
内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省が連名で2021年に策定した『フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン』では、フリーランスを「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義づけていましたが、それと同義と考えておいてよいでしょう。

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フリーランスは業種も多彩です。
たとえば、デザイナーや映像ディレクター、フォトグラファー、ライターなどのクリエイティブ系、エンジニアやプログラマー、コンサルタントなどのビジネス系、スタイリストや美容師、スポーツトレーナーなど特定の技能を提供する職人系などがあげられます。

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また、かつては企業や団体などには属さずに企業側から業務を受託する独立した人々が中心でした。
しかし、近年は副業解禁の潮流とも相まって、企業や団体に所属しながらも、一方では別の企業から仕事を請け負う副業系フリーランスも増えつつあります。

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内閣官房による統一調査によれば、こうした副業系も含めた広義でのフリーランス人口は、2020年時点で462万人という試算になっています。
しかし、これはコロナ禍以前の数値であり、請負業務の増加やリモートワークの普及に伴い、現在のフリーランス人口は大幅に増加していることが予想されます。

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こうしたフリーランスの働く環境を整備して、経済の発展に寄与することを目的に、成立したのがフリーランス保護法です。

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業務を委託する側の事業者が知っておきたいこと

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現在も報酬金額の減額や支払いの遅延、発注した物品の受領拒否など、下請事業者に不利益となる行為を禁止した『下請法』という法律があります。
しかし、この下請法が適用される委託側の事業者は、資本金1,000万円以上の事業者に限られていました。

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一方でフリーランス保護法は、資本金の額に関わらず、従業員を使用しているすべての委託側の事業者が対象となります(ただし、契約内容の書面明示義務については、従業員を使用していない委託事業者にも適用されます)。
この事業者のことを『特定業務委託事業者』と呼びます。
逆に、事業を請け負う、受託する側であり、なおかつ従業員を使用していない事業者(フリーランス)のことは『特定受託事業者』と呼びます。
つまり、フリーランス保護法とは、特定業務委託事業者との業務委託契約において、この特定受託事業者が不利益をこうむらないようにするための法律だといえます。
たとえば、従業員を一人でも雇用している場合は、特定受託事業者ではないため、フリーランス保護法の対象外となります。

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では、フリーランス(特定受託事業者)に業務を委託する事業者(特定業務委託事業者)は、どのようなことを守ればよいのでしょうか。
フリーランス保護法では、特定受託事業者に関わる取引の適正化を行うために、主に『書面での明示』『報酬支払期日の設定』『禁止事項』の3つを定めています。

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まず、フリーランスに業務を委託した場合、委託側の事業者は、給付(業務)の内容や報酬の額などを書面または電子データなど電磁的方法で相手に明示しなければいけません。
これが書面での明示です。

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報酬の支払い期限については、あらかじめ支払期日を設定し、フリーランスから成果物が納品されたら、受領した日から60日以内に報酬を支払う必要があります(再委託の場合は、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)。

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そして、以下の(1)~(5)が禁止事項となっています。
(1)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること
(2)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
(3)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
(4)通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
(5)正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
また、以下の2つの行為によって、フリーランスの利益を不当に害してはならないとされています。
(6)自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
(7)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更させ、又はやり直させること

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このほかにも特定業務委託事業者は、就業環境なども整備することを義務づけられています。
もし、これらに違反した場合は、公正取引委員会や中小企業庁長官または厚生労働大臣から、助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令が行われます。
さらに、命令に違反したり、検査を拒んだりした場合には、50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

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フリーランス保護法は、2023年5月12日に公布され、そこから1年6カ月以内に施行されます。
遅くても2024年の秋には施行されるので、委託側の事業者は書面の準備や従業員への法令の周知などを今から行っておきましょう。

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※本記事の記載内容は、2023年7月現在の法令・情報等に基づいています。

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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/32615?office=Z17DLaHtybU%3D

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