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『過払い金』が戻る仕組みとその請求方法とは

2021年3月1日

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「過払い金が戻ってくる」とうたうテレビCMや広告は誰もが目にしたことがあるのではないでしょうか。
『過払い金』とは、カードローンなどを利用した際に、本来払うべき利息よりも多く支払っていたお金のことを指します。
利息を多く支払いすぎていた場合、貸金業者に請求することで、この過払い金を返還してもらうことができるのです。
今回は、この過払い金が発生する仕組みや、請求方法などについて解説します。

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2つの法律の上限金利が、過払い金を生んだ

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日本には『利息制限法』と『出資法』という貸金業者に適用される2つの法律があります。
過払い金は、この2つの法律の上限金利の違いが生んだものです。

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貸付金額によって異なりますが、利息制限法では上限金利を15~20%と定めていました。
一方で、出資法では、上限金利は古くは年40.004%、2000年から2006年までは年29.2%と定めていました。
貸付金にかかる利息の金額は、消費者金融やクレジットカード会社など、貸金業者によってさまざまですが、事業としてお金を貸している以上、できるだけ金利を高くしたいのが本音です。

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利息制限法では上限金利の最高が20%で、それを超える利息は無効とされていましたが、その場合にも旧貸金業規制法には一定の要件で有効な弁済とみなす規定(『みなし弁済』と呼ばれます)があり、また当時は上限金利を超えたとしても罰則規定がありませんでした。
逆に、出資法には上限金利を超えた場合に、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金が科されるという重い刑事罰が定められていました。

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その頃の貸金業者は、利息制限法では認められていない利息でも、旧貸金業規制法によってみなし弁済が認められると安易に解釈し、刑事罰のない20%から29.2%までの金利で多くの業者が貸付けを行っていました。

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当時の利息制限法の上限金利を超えたところから、出資法の上限金利までの間の金利を『グレーゾーン金利』と呼びます。

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しかし、悪質な業者が過酷な取立てを行っていること等が社会問題となり、グレーゾーン金利の弁済を有効とみなす貸金業規制法の規定の適用を制限する判決が増えていき、ついに2006年の貸金業法改正によって従来のみなし弁済の規定が廃止されることになりました。
同時に、出資法の上限金利も20%に引き下げられることになり、2010年に改正法が完全施行されたことで『利息制限法』で定められた15%~20%の上限金利を超えるグレーゾーン金利の契約は全て無効となりました。

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グレーゾーン金利が無効とされたことで、これまでのような29.2%の金利で貸付は不可能になり、現在は多くの貸金業者も15%~20%の上限金利で貸付をしています。
さらに、グレーゾーン金利で貸付を行っていた貸金業者は、15%~20%で貸付を行った場合の差額を利用者に返還するように求められました。

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現在では、利息制限法の上限を超える金利でお金を借りていた人が払いすぎた利息分は、過払い金ということになります。

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過払い金を貸金業者に請求する方法は

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2010年のグレーゾーン金利が撤廃される以前に、グレーゾーン金利で貸付を行っていた貸金業者を利用した人は、過払い金の返還請求ができる可能性があります。

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銀行に関しては、当時から利息制限法を守り、15%~20%の上限金利で貸付を行っていたため、グレーゾーン金利で貸付を行っていた貸金業者には該当しません。
基本的には、消費者金融や、クレジットカードを発行している信販会社などは該当しますが、2010年以降は全ての貸金業者の上限金利が15%~20%に是正されているので、同年以降に貸付を受けた人は請求できないことになります。

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また、貸付を受けた時期にも注意する必要があります。
過払い金が請求できるのは、最終的に返済をした日から、10年までと定められています。
10年経つと、時効によって過払い金を請求する権利は消滅してしまうので、心当たりがある場合は、完済日から10年経っていないかどうかを確認する必要があります。
最終的な返済をした日から10年未満で条件に該当する人は、過払い金請求をできる可能性が高いということです。

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過払い金の請求は、専門家に頼むこともできますが、自分で請求できないこともありません。

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方法としては、貸金業者に問い合わせて、取引履歴を出してもらい、適用されていた金利を確認します。
グレーゾーン金利に該当していた場合は、過払い金がいくらになるかを計算し、その結果をもとに、貸金業者に請求書を送ります。
過払い金の計算は、インターネット上に必要事項を記入すれば自動で計算してくれるソフトがあるので、参考までに利用してみてもよいかもしれません。
ただし、そこで割り出される金額が正確なものであるとは限りません。
迷うことがあれば、一度専門家に相談してみるのも選択肢の一つです。

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もしも2010年以前に、カードローンを利用していたならば、過払い金が発生している可能性があります。
思い当たることがあれば、一度確認してみたほうがよいでしょう。

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※本記事の記載内容は、2021年2月現在の法令・情報等に基づいています。

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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/25818?office=Z17DLaHtybU%3D

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