ブログ

『JTC』の問題点とは? 脱却するために必要な取り組みを解説

2024年7月1日

.

 

近年、SNSなどを中心に『JTC』という言葉が見受けられるようになりました。
JTCとは、『Japanese Traditional Company(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)』の頭文字のことで、いわゆる『伝統的な日本企業』を指します。
文脈としては、古い企業体質を揶揄するときによく使われ、あまりよい意味でとらえられることはありません。
JTCには、課題の改善に消極的で現状維持を優先させるといった企業文化が根付いている傾向があります。
もし自社がJTCの特徴に当てはまるのであれば、脱却するために何をすればいいのか考えていきましょう。

.

 

.

 

昔ながらの慣習が残るJTCの特徴

.

 

終身雇用や年功序列といった慣習を続けている企業は、まだまだたくさんあります。
厚生労働省の調査によれば、若い頃に入社して、そのまま定年まで勤め上げる人の割合は、2016年時点で大卒正社員が約5割、高卒正社員が約3割を占めています。
この割合は長期的に見ると低下傾向にありますが、『終身雇用制度の崩壊』が叫ばれるほどには減ってはおらず、また新入社員による終身雇用を望む声も増加しており、今後も終身雇用制度が日本から完全になくなることはないでしょう。
終身雇用の会社では、賃金に関しても勤続年数や年齢で昇給する『年功賃金』を採用していることが多く、終身雇用と年功序列の2つはJTCの代表的な制度といえます。

.

雇用の保障や安定した収入の確保など、終身雇用や年功序列にはメリットもあります。
しかし、JTCと揶揄される企業には、「ハラスメントがある」「不要な業務が多い」「ペーパーレス化していない」「前例がないと動けない」「トップダウン」など、さまざまな悪しき慣習が根付いています。
一般的には、保守的な縦割り型組織で風通しの悪い企業が、JTCの代表格として取り沙汰されます。

.

では、なぜJTCでは旧態依然とした風土や企業文化が醸成されてしまうのでしょうか。
一つに、伝統のある企業だからこその経営面での「安定」があります。
業績が安定していれば、リスクを取ってまで新しいことに挑戦する熱意は少なくなりますし、失敗を恐れ、現状維持で満足してしまいます。
リスクを取らなくなるということは、課題や不満があっても改善しようという意欲も起きないということです。
結果として、自由に物が言えない閉鎖的な雰囲気となり、上からの命令に従うだけのトップダウンの企業ができあがるというわけです。

.

このような企業では、停滞感が蔓延し、誰もがルール通りにルーティンで仕事をします。
顧客に目がいかず、柔軟な対応もできなくなり、目的が明確でない非効率的な仕事も増えていきます。
そうした企業からは、新たなイノベーションが生まれることはないでしょう。
JTCの持つ風土や企業文化は、組織の成長を妨げ、将来的な発展を遅らせる要因にもなりえます。

.

 

JTCからの脱却には思い切った改革が必要

.

 

JTC特有の停滞した状況を改善するには、企業文化や制度の見直しが必要です。
新しいことに挑戦しても評価されないのであれば、誰もがモチベーションを失ってしまいます。
年功序列のように年齢や社歴に応じて昇給・昇格するのではなく、その人の業績や成果で昇給・昇格を判断する人事評価制度を導入するのも方法の一つです。
業績や成果が正当に評価されるのであれば、やる気もアップすることでしょう。

.

また、JTCから脱却するためには、ダイバーシティの推進も重要です。
JTCの社風や体制は「経営層や管理職が男性ばかり」「女性社員のお茶出しが当たり前」「制服着用が義務付けられている」「育児休業・介護休業が取りにくい」「飲みニケーションを強要する」など、多様な価値観を認める今の社会から逆行している例が少なくありません。
近年は、経営層への多様な人材の登用や、キャリアプランの多様化など、ダイバーシティの推進が経営に結びついている先進的な企業も増えてきました。他社の事例を参考に、ダイバーシティの推進に取り組むのも効果的です。

.

ほかにも、他部署間の交流などによるコミュニケーションの活性化や、押印や印刷の撤廃などペーパーレス化による業務効率化など、JTCからの脱却に向けてできることはたくさんあります。

.

JTCと呼ばれる古い体質の企業は、歴史のある大企業に多いことから、『大企業病』とも揶揄されます。
『JTC』や『大企業病』と呼ばれないような企業文化を作るためには、経営陣の意識改革が必要です。
まずは社内の意見をすくい上げて、できることから取り組んでみましょう。

.

※本記事の記載内容は、2024年6月現在の法令・情報等に基づいています。

.

参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/33957?office=Z17DLaHtybU%3D

お気軽にお問い合わせください TEL/03-3241-4856

メールでのお問い合わせはこちら