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上場会社等が破産等により株式の価値が失われた時の特例について

2019年3月30日

証券会社で開設されました特定口座で購入された上場会社等が上場廃止となった場合は、その上場株式等は原則として一般口座での預りとなります。

一般口座の預りとなった上場株式等は、上場廃止となって無価値化されたとしても、その損失は原則として上場株式等以外の一般の株式等(非上場株式等)の譲渡益と通算は出来ますが、上場株式等の譲渡益との通算や上場株式等の配当等との損益通算及び上場株式等の損失の繰越控除は、不可となります。

しかし、特定口座に保管されていた上場株式等が、上場廃止となった日以後、特定管理株式等に該当した場合で、その株式等を発行した法人に清算結了等の一定の事実が生じた時は、その上場株式等の譲渡があったものとして、その上場株式等の取得価額を上場株式等の譲渡損失とみなされ、その年の他の上場株式等の譲渡益から控除することが可能となります。

また、その上場株式等の譲渡損失が他の上場株式等の譲渡益から控除しきれない金額がある場合は、上場株式等に係る譲渡損失の金額として、その年の翌年から3年間の上場株式等の譲渡益との通算や上場株式等の損益通算及び上場株式等の損失の繰越控除の適用を受けることができます。

 

◎清算結了等の一定の事実とは

 

一定の事実とは、株式が無価値化したとみなされるケースであり、上場廃止しただけでは、株式が無価値化したとはみなされません。

 

下記のケースが譲渡があったこととなる一定の事実に該当することになります。

 

◆解散(合併は除きます)による清算結了

◆破産法の規定による破産手続開始の決定を受けたこと

◆会社更生法の規定による更生計画等により、100%減資など

◆民事再生法の規定による再生計画等により、100%減資など

◆銀行の国有化に伴う預金保険法の規定による特別危機管理開始の決定

 

◎特定管理口座とは

 

特定口座に保管している上場株式等が上場廃止等により上場株式等に該当しないこととなったときに、証券会社に上場廃止になる日までに一定の届出書を提出することを要件として、特定管理口座が開設され、上場廃止等日以後、特定管理株式として管理するための口座となります。

 

 

◎特例をうけるための手続き

 

この特例は、上場株式等としての無価値化されたことによる損失が生じた場合として上記の清算結了等の一定の事実が発生した年分の確定申告書に、この特例を受ける旨を記載をし、下記の書類を添付する必要があります。

 

証券会社が発行する価値喪失株式に係る証明書

◆株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書(価値喪失株式等と価値喪失株式等以外の株式等とは区分して記載したものに限る)

 

(投稿者:國分 久)

 

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