人を雇用する際の『身元保証法』で定められていること
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会社に損害を与えた従業員に弁済能力がない場合、事業者は従業員の身元保証人にも損害賠償請求を行うことがあります。
しかし、身元保証人に損害賠償請求を行うには、その従業員を雇用する際に、従業員の身元保証人と『身元保証契約』を結んでおかなければいけません。
身元保証契約は、『身元保証に関する法律(身元保証法)』によって定められており、正しく理解していないと、締結した契約が無効になってしまうこともあります。
身元保証法で定められている身元保証に関するルールを把握しておきましょう。
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事業者が身元保証人に対して負う通知義務
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従業員が故意や過失によって会社に損害を与えた場合、事業者はその従業員に対して、損害賠償を請求することがあります。
しかし、従業員本人に弁済能力がなく、賠償金などが払えないこともあります。
こうした事態に備えて、多くの企業では雇用するタイミングで採用者に身元保証人を立ててもらい、その身元保証人と身元保証契約を結んでいます。
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身元保証人とは、その名の通り、働く人の『身元』を『保証』する人のことを指し、事業者側は雇用する従業員に対して、身元保証人の氏名や勤務先、住所などを記入した『身元保証書』の提出を求めます。
この身元保証書の提出をもって、身元保証契約が締結されたことになります。
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ここで注意したいのは、身元保証契約は雇用する従業員との契約ではなく、あくまで事業者と身元保証人との契約だということです。
そのため、事業者は身元保証人に対して『通知義務』を負うことになります。
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たとえば、雇用した従業員に業務上、不適任な状況などがあり、将来的に身元保証人にも賠償責任が生じる可能性がある場合、事業者はその事実を迅速に知らせなければいけません。
また、被保証人(従業員)の業務や勤務地、職位などの変更に伴い、身元保証人の責任が重くなったり、目が届かなくなったりする場合も、通知する必要があります。
なお、身元保証人はこれらの通知を受けた段階で、身元保証契約を解除することもできます。
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保証期間や保証額にも制限が定められている
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会社に損害を与えた従業員に賠償金の支払い能力がない場合に備えて、事業者は身元保証人と身元保証契約を結ぶわけですが、保証期間が長期だったり、保証する金額が無制限だったりすると身元保証人の負担が大きくなってしまいます。
そこで、身元保証法では身元保証契約について、一定の制限を定めています。
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まず、保証期間ですが、期間の定めのない場合は契約成立の日から3年、期間を定めても最長で5年となっています。
期間を過ぎても更新はできますが、その場合は新たに更新契約を身元保証人と結ばなければいけません。
自動的に更新することはできず、身元保証書に自動的に更新する旨が書かれていても無効になります。
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また、身元保証人が損害賠償を負う金額に関しては、身元保証契約で『極度額』を定めておく必要があります。
極度額とは身元保証人が責任を負う金額の上限のことで、極度額が設定されていない契約も無効になるので注意してください。
極度額は企業側で設定できますが、あまりに高額だと、そもそも採用者が身元保証人を立てづらくなるという問題も生じるので、十分な検討が必要です。
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賠償金が設定した極度額まで認められることはほぼありません。
裁判所が身元保証人の損害賠償の責任と賠償額を定める際には、事業者による過失の有無や、被保証人の業務内容、身元保証人の管理・監督の程度などの事情を踏まえて、判断します。
一般的には、極度額よりも少ない賠償金額になることがほとんどです。
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このように、期間と金額に制限があるのは、被保証人の不正など、不測の事態から保証人を守るためでもあります。
また、身元保証法に基づく身元保証契約は、労働契約とは異なる契約であり、法律上必ず締結しなければいけないというものではありません。
あくまで事業者と身元保証人との間で結ぶ任意契約ですが、従業員の不正やトラブルを抑制する効果もあるため、身元保証人を立てることを採用条件としている企業も少なくありません。
一方、採用のグローバル化や身元保証人の責任の大きさ、通知義務の煩雑さなどの理由から、身元保証の慣行の見直しの動きもあります。
身元保証人の責任の範囲などをよく確認したうえで、必要があれば採用した従業員に身元保証書を提出してもらいましょう。
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※本記事の記載内容は、2024年7月現在の法令・情報等に基づいています。
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参考文献:https://app.mig-sys.jp/mig/admin/articles/1001150