人材開発支援助成金とキャリアアップ助成金の併給は可能?
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雇用の安定や職場環境の改善、従業員の能力向上や家庭と仕事との両立を支援するために、国や自治体からさまざまな助成金が支給されています。
事業を円滑に行うために活用したい助成金ですが、活用するためには一定の要件を満たしている必要があります。
実際にどのようなケースで助成金が活用できるのか、事例に沿って紹介します。
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キャリアアップ助成金 正社員化コース
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<Question>
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非正規雇用労働者として雇用している従業員に、現在、人材開発支援助成金『人材育成支援コース』の対象となる訓練を受講してもらっています。
その従業員について、今後正社員登用を検討しており、正社員化した場合、『キャリアアップ助成金』も併せて受給することは可能なのでしょうか。
併用する場合の注意点なども教えてください。
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<Answer>
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人材開発支援助成金の『人材育成支援コース』と、『キャリアアップ助成金』を併用受給することは可能です。
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しかも人材開発支援助成金の特定の訓練を修了後に正規雇用労働者に転換等した場合は、キャリアアップ助成金の助成金額が加算されます。
加算の対象となる人材開発支援助成金の訓練に該当するコースは以下のとおりです。
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(1)人材育成支援コース※
(2)事業展開等リスキリング支援コース
(3)人への投資促進コース
※令和5年度に特別育成訓練コース、特定訓練コース、一般訓練コースが統廃合。令和3年12月21日以降に計画届が提出された特別育成訓練コースおよび特定訓練コース(ITSSレベル2)も対象です。
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人材開発支援金とキャリアアップ助成金を活用して正社員化する場合、訓練終了後に正規雇用労働者に転換した場合が加算対象となります。
訓練中に正規雇用労働者に転換した場合は加算対象とならないので注意が必要です。
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【申請手続きの簡素化について】
令和5年度より人材開発支援助成金の訓練後に対象労働者を正社員化し、キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請する予定の事業主は、人材開発支援助成金における『訓練実施計画届』(訓練様式第1号など)の作成・提出をもって、キャリアアップ助成金(正社員化コース)における『キャリアアップ計画』とみなすことができます。
その場合は、『訓練実施計画届』の裏面にある追加項目を記載する必要があります。
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※紙面で『訓練実施計画届』を作成・提出する場合に限る取り扱いとなります。
※令和5年度以降に『訓練実施計画届』を作成・提出する場合に限ります。
※訓練対象者が正社員化された場合のみの取り扱いとなります。
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【対象となる事業主の主な要件】
支給対象となる事業主の主な要件は以下のとおりです。
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(1)有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換する制度を就業規則または労働協約そのほかこれに準ずるものに規定している事業主であること。
(2)上記(1)の制度の規程に基づき、雇用する有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換した事業主であること。
(3)上記(2)により正社員に転換された労働者を転換後6カ月以上の期間継続雇用し、転換後6カ月分の賃金を支給した事業主であること。
(4)支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること。
(5)正社員転換後6カ月間の賃金を転換前6カ月間の賃金より3%以上増額させている事業主であること。
※このほかにも必須要件があります。
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【対象となる労働者の主な要件】
対象となる労働者の主な要件は以下のとおりです。
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(1)有期雇用労働者または無期雇用労働者であること。
(2)正規雇用労働者として雇用することを約して雇入れられた有期雇用労働者等ではないこと。
(3)支給申請日において、正社員化後の雇用区分の状態が継続し、離職していない者であること。
(4)支給申請日において、有期雇用労働者または無期雇用労働者への転換が予定されていない者であること。
(5)正社員転換後の雇用形態に定年制が適用される場合、正社員転換日から定年までの期間が1年以上ある者であること。
※このほかにも必須要件があります。
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【正規雇用労働者の定義】
同一の事業所内の正規雇用労働者に適用される就業規則が適用されている労働者。
ただし、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限ります。
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【支給額】※1年度1事業所当たりの支給申請上限人数20名
キャリアアップ助成金の正社員化コースの一人当たりの助成額は以下のとおりです。
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<有期雇用労働者から正社員に転換した場合>
中小企業:57万円
大企業:42万7,500円
<無期雇用労働者から正社員に転換した場合>
中小企業:28万5,000円
大企業:21万3,750円
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【加算額(例)】
人材開発支援助成金の訓練終了後に正社員に転換した場合の一人当たりの加算額は以下のとおりです。
有期雇用労働者:9万5,000円
無期雇用労働者:4万7,500円
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なお、このほかにも細かい支給要件があります。詳細は厚生労働省のホームページや専門家にお問い合わせください。
出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001083208.pdf
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※本記事の記載内容は、2023年11月現在の法令・情報等に基づいています。
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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/33396?office=Z17DLaHtybU%3D