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取締役会の運営を法務部が行うとよい理由とは?

2022年11月16日

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取締役会は、会社の重要な業務に関して意思決定を行うための機関です。
取締役会の開催は、会社法によって3カ月に1度と定められており、日程調整や資料作成等の準備にはそれなりに時間がかかるため、事務局を置くのが一般的です。
多くの企業では、総務部や経理部、経営企画部、法務部などが兼務していますが、なかでも、法務部が取締役会の事務局を担うことには一定のメリットがあるといわれています。
今回は、なぜ法務部が取締役会事務局を担うとよいのか、その理由について解説します。

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取締役会を運営する事務局の役割とは

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会社の取締役で構成される取締役会の役割は、業務執行の意思決定などのほかに、代表取締役の選任および解職、取締役の監督などが含まれます。
現在、取締役会の設置は任意となっており、公開会社などを除いて設置義務はありません。
そのため、非公開会社の多い中小企業の場合、取締役会を設置していないケースも多く見られます。

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一方で、大企業から信用を得やすい、金融機関から融資を受けやすくなったりするなどの理由から、中小企業でも取締役会を設置している例があります。

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取締役会の開催時期は定められていませんが、3カ月に1度は開催しなければならないほか、開催日の7日前までには各取締役に招集通知を送付する必要があるなど、開催にあたっての事務作業は多岐にわたります。
これら、取締役会の運営業務を一手に担うのが、取締役会事務局です。

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取締役会事務局は、総務部や経営企画部などが兼務する例が多く見られます。
どの部署に取締役会事務局を任せるのかは、会社の規模や各部署に所属する社員の経験や知識などを鑑みて総合的に判断する必要がありますが、特に相性がよいのは法務部だといわれています。

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取締役会事務局の法的な対応力の必要性

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法務部が取締役会事務局を担うにふさわしい理由の一つに、日ごろから企業の重要な契約など、法律がからむ業務を受け持っていることがあげられます。
たとえば、業務の一環で契約書の審査をしているなかで、当初は想定していなかった重要性やリスクに気づくことがあるでしょう。
こういったケースでは、必要に応じて法務部から取締役に報告を上げられると同時に、法務部が取締役会事務局を兼務していれば、問題となる契約書の審査を進めながら、その問題を検討するための取締役会用の資料を用意し、迅速な検討を促すことも可能になります。

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また、近年は社外取締役が増えていることも、法務部が取締役会事務局を兼務したほうがよい理由の一つです。
取締役会を設置するには、最低でも3名の取締役と1名の監査役または会計参与が必要になります。
特に、上場企業は2022年に改訂された企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)によって、取締役の3分の1を社外取締役にするよう求められています。

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取締役会事務局は、社内事情に明るくない社外取締役に対して議案の説明を行う役割があり、社外取締役からの質問や情報請求への対応も担うことになります。
コーポレートガバナンス・コードの知識を持つ法務部が取締役会事務局を兼務することで、こうした社外取締役への対応もスムーズになるでしょう。

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また、社外取締役には弁護士が選任されることもあります。
このようなケースでは、法律や契約に関する知識のある法務部が取締役会事務局を担ったほうが、やり取りがスムーズになること多いようです。

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以上のような理由から、総務部や経理部に事務局を兼務させ、一から法務知識をつけてもらうよりも、すでに会社法の知識のある法務部に任せたほうが効率的だと考える企業が増えてきたようです。
これから取締役会事務局を設置するのであれば、法務部の兼任を検討してみてはいかがでしょうか。

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※本記事の記載内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。

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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/30770?office=Z17DLaHtybU%3D

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