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商標法や不正競争防止法に抵触? パロディー商品はどこまでOK?

2023年2月13日

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パロディーとは、既存の作品の特徴をまねながら、滑稽的または風刺的につくり変えたものを意味します。
日本ではいわゆる『パロディー商品』が数多く販売されていますが、このパロディー商品の商標権を巡った訴訟が起きています。
パロディー商品のなかには、商標法や不正競争防止法などに抵触するものもありますが、法律上、『パロディー』は明確に定義されておらず、また、パロディーの範囲を明確にすることも困難で、ケースごとに裁判などで判断しなければいけません。
過去の判例などから、パロディー商品におけるグレーゾーンを探っています。

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商標無効とされた『LACOSTE』のパロディー『OCOSITE』

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2020年11月、ワニのマークでおなじみの衣料品ブランド『LACOSTE(ラコステ)』を展開する株式会社ラコステは、『LACOSTE』のパロディー商品である『OCOSITE(オコシテ)』の商標登録の取り消しを求める異議申立てを特許庁に行いました。

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商標とは、自分、あるいは自社企業の商品やサービスを、ほかの企業のものと区別するためのマーク(識別標識)のことです。
特許庁に商標を出願し、商標登録を受けて初めて、自分、あるいは企業の「顔」であるマークやネーミングが『商標権』を獲得し、知的財産として法律によって保護されるようになります。

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株式会社ラコステに訴えられた『OCOSITE』は、『LACOSTE』のワニのマークを反転させ、「起こして」ともがくワニを表現した商標で、2020年3月に大阪の個人によって特許庁に出願、同年9月に商標登録され、『OCOSITE』のマークが入ったパロディーTシャツなどが販売されていました。
2022年2月、特許庁はラコステ側の主張を認め、『OCOSITE』の商標登録を取り消す決定を下しました。

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この『OCOSITE』の事例をひも解く前に、パロディー商品の商標を巡って争われた2017年のある裁判について紹介しておきます。
2017年の裁判では、自社製品が「他社から商標を侵害されている」として、パロディー商品の取り消しを特許庁に求め、特許庁から商標登録の取り消しが認められました。
しかし、「侵害されている」と訴えられた被告側である製造・販売元の企業がこれを不服とし、知的財産高等裁判所(知財高裁)に対し、特許庁による取り消し無効を求め裁判を起こし、知財高裁より商標を認める判決が下されたのです。

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2017年の事例も『OCOSITE』の事例も、どちらも「自社製品が知的財産である商標を侵害されている」との申立てです。
しかし、申立てが認められたものと、認められなかったものが出たことになります。
その理由の一つには、商標の類似性がありました。
商標は商標法に基づき、ほかの商標と同一または類似したものや、他人が混同するおそれのあるものは登録できないことになっています。
2017年の事例で、知財高裁が特許庁による取り消しを無効とし、商標を認める判決を下した理由は、「ブランド名の読み方は似ているが、外見や意味合いがまったく異なるため、商標としては類似していない」との判断があったのです。

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一方の『OCOSITE』は、『LACOSTE』のマークを反転させたものであり、フォントも『LACOSTE』と似ていることもあり、商標の類似性が相当程度高いと判断されました。
また、『LACOSTE』では、過去にキャンペーンや他社とのコラボレーションを通じて、ワニのマークをアレンジしたロゴや、角度を変えたロゴを使用していました。
こうした過去の事実から、『OCOSITE』のロゴが消費者から『LACOSTE』のキャンペーンや他社とのコラボだと誤認される可能性があることも、商標が無効と判断された理由の一つです。

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商標法だけではなく不正競争防止法にも注意

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パロディー商品を取り扱うときに気をつけたいのは、商標法だけではありません。
商標の類似性が低く、商標法に違反しなかったとしても、不正競争防止法に抵触してしまうことがあります。

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不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争を確保するための法律ですが、不正競争行為によって他人の営業上の利益を侵害することを禁止する法律です。

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この法律では、いくつかの禁止行為が定められており、2021年7月には、人気アニメ『鬼滅の刃』を連想させるタオルやマスクなどの商品を『鬼退治グッズ』などと称して販売したとして、不正競争防止法違反における混同惹起行為の疑いで、販売会社の社長をはじめとする男女4人が逮捕されました。
商品には、直接的に『鬼滅の刃』という文字は使われていないものの、『鬼退治』や『滅』といった『鬼滅の刃』を連想させる文字や、キャラクターの着ている羽織に似たデザインが使われていました。

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『混同惹起行為』とは、不正競争防止法の定める禁止行為の一つで、他人の商品や営業上の表示として世間で広く認識されているものを使用して、消費者に他人の商品や営業上の表示だと混同させる行為を指します。
この事例では、販売していた商品が、あたかも『鬼滅の刃』のグッズであるかのように混同させる商品だったことが問題視されました。

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このように、商標法的には問題なかったとしても、混同惹起行為として不正競争防止法に抵触する可能性があるため、パロディー商品を販売する際は十分に注意する必要があります。
特許庁による取り消しを無効とした知財高裁も、認められたのはあくまで商標です。
不正競争防止法の観点から見ると、デザインとして似ているとまた別の判断が下され、販売できなくなる可能性もあるのです。

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そのほか、著作権法などにも抵触する可能性があるので、パロディー商品を企画・製造・販売する際は、法的な問題点がないか、よく確認する必要があります。

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※本記事の記載内容は、2023年1月現在の法令・情報等に基づいています。

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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/31416?office=Z17DLaHtybU%3D

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