小規模宅地等の特例 ~特定居住用宅地 居住要件と所有要件~
小規模宅地等の特例を適用して相続人の方の自宅の評価を行っていた際に、クライアントの方からご質問をうけた間違いやすい居住要件と所有要件についてお話ししたいと思います
■小規模宅地等の特例 特定居住用宅地等
相続等により取得した土地等のうち、相続開始直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち一定の要件を満たす場合には80%の評価を減額してくれる制度になります
例えば、相続税評価額が1億円の土地がある場合、一定の要件を満たすと1億円の相続税評価額→2000万円の相続税評価額となります
■適用要件
1. 配偶者が取得した場合
特になし
2. 同居親族
相続税の申告期限まで居住し、かつ所有
3. いわゆる家なき子
家なき子とは、日本国籍を有し、被相続人に配偶者・同居親族がいない場合において、 相続前3年以内に自身又は配偶者が所有する家屋に居住したことがない方のことを表現した用語になります(法律上の表現ではありません)
しかし、この制度を適用するために、親族や同族会社に一時的に資産を売却する例が多数見られたため、税制改正があり適用が厳格化されました
①配偶者に加え、3親等以内の親族、関係する同族会社等の所有する家屋に居住したことがないこと
②相続開始前時に居住していた家屋を相続前に所有していないこと
(平成30年4月1日以後の相続等に適用、経過措置有)
相続税の申告期限まで所有
■注意点
配偶者の方が土地を取得する場合は、上記の通り要件はございません
また、同居親族の方が取得する場合は居住が要件になっているため、申告期限前に賃貸しては適用がなくなってしまいます
一方、家なき子の場合は、所有要件しかありません。つまり、申告期限前に賃貸しても売却しなければ適用があります
このように、取得者により要件が異なり、また、税制改正もございました
80%評価減を確実に適用できるように、現状の認識を適切に行ってください
(投稿者:五十嵐)