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従業員を『休職』させる際に注意しておきたいこと

2023年11月9日

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働く意思のある従業員が何らかの事情によって労働が困難になり、会社の都合や法的な制度などにより一定期間の労働を免除することを『休業』といいます。
一方、従業員が自分の都合により、雇用関係を継続したまま長期に渡って休む場合は『休職』となり、休業と休職は休んでいる期間の会社からの給与支払い義務などが異なります。
休業と異なり、休職には法律上の定義がなく、休職制度の内容は会社の裁量に任されています。
しかし、適正な休職制度設計を行い、正しく運用しないと、労使トラブルに発展してしまう可能性もあるので注意しなければいけません。
今回は、休職制度を就業規則に導入する際の注意点を説明します。

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休業と休職の違いとは?

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設備のメンテナンスや会社の業績不振などで、やむなく従業員を休ませる場合は、会社都合の休業となります。
その場合、労働基準法第26条に基づいて会社は、平均賃金の6割以上を休業手当として支払わなければなりません。

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また、会社都合ではなくても、女性従業員が妊娠した場合は本人の申請に基づいて、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から休ませる必要があると同時に、出産後は本人の申請がなくても原則8週間は必ず休ませなければいけません。
このような産前・産後の休業は労働基準法第65条によって定められており、ほかにも、育児・介護休業法で育児や介護に伴う休業が定められています。
しかし、これらの休業は就業規則に記載がない限り、会社から給与を支払う義務はありません。
このほか、労働基準法第76条で就業中の労働災害(労災)に伴う休業も定められています。
会社の責任による労災で休業する場合は、会社の落ち度で従業員が休業することになったという観点から、会社は従業員に対して給与を支払う義務があります。

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このような会社都合や産前・産後、育児・介護や労災ではない、従業員の個人的な理由によって働くことがむずかしい場合は、休業ではなく、会社の定めに従い休職として扱うことになります。

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自己都合による休みと会社が必要な支払い

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従業員の自己都合による休みには、休職のほかに『欠勤』があります。
欠勤は労務に従事しなければならない所定労働日に従業員が自己都合で休むことをいいますが、休職は該当の従業員と労働契約をそのまま継続させながら、労務への従事を免除または禁止することを指します。

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ただし、法律で定められている休業とは異なり、休職は会社が独自に導入する制度です。
制度の内容も会社が自由に決めることができるため、たとえば「休職中も給与を支払う」などと就業規則で定められていない限り、有給休暇を使い果たした後は無給となり、会社は給与を支払う必要はありません。

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就業規則で定めていない限り休職中は給与を支払う必要はありませんが、社会保険料の支払いは免除されません。
社会保険料の負担割合は労働者と会社の半々で支払いますが、通常は給与支払い時に社会保険料を徴収(給与控除)しています。
しかし、休職中は従業員の給与から労働者負担分を差し引くことができないため、休職している従業員から自己負担分の社会保険料を徴収しなければなりません。
会社側は「立て替えておいて復職時に徴収する」「労働者の負担分を会社の口座に振り込んでもらう」など、あらかじめ休職中の労働者負担分の社会保険料の徴収方法を考えておく必要があります。

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休職の対象となる社員や期間を決めておく

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新たに休職制度を導入する場合は、社会保険料の取り扱い以外に、対象となる従業員や休職期間、復職の判断基準なども就業規則に定めておく必要があります。

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まず、休職の対象となるのは、労務に従事できない個人的な理由のある従業員になります。
個人的な理由は人によってさまざまですが、休ませる『妥当性』がある場合にのみ、休職を認めるようにしなければいけません。
たとえば、仕事とは関係のない業務外で怪我や病気を負った従業員は、療養に専念する必要があることから、休職させる妥当性があると考えることができます。
ただし、休職制度を定めた後は、休みを認める妥当性についての特例を作ることのないように、毅然として運用することも重要です。
ちなみに、業務外の怪我や病気を原因とする休職は、労災に基づく休業と区別するため『私傷病休職』と呼びます。

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ほかにも休職の区分として、資格の取得やボランティア活動への参加など、怪我や病気以外の理由による『自己都合休職』や、刑事事件で起訴されたことによる『起訴休職』、労働組合の役員に専従するための『組合専従休職』などがあります。
また、休職を認める理由のほかにも、正社員、パート・アルバイトなど、どの雇用形態の従業員に休職制度を適用するかどうかもルールとして決めておきましょう。

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休職期間は会社によってさまざまですが、一般的には3カ月~3年の間で設定している企業がほとんどです。
休職期間は働くことのできない従業員を休ませて、労務に復帰できるかどうかを見極める期間でもあります。
休職期間を終えた従業員の復帰の可否は会社が判断することになりますが、私傷病休職の場合は復職にあたって主治医の診断書を提出してもらうなど、復職が可能であることを書面で示してもらうようにしましょう。

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注意したいのは、主治医の診断書があり、本人も復職の意向があるにもかかわらず、会社として復職を認めない場合です。
「休職前に従事していた業務をこなせないのであれば復職を認めない」とする企業がありますが、たとえば配置転換や業務変更などによって従業員の復帰できる方法を模索するなど、企業には相応の配慮が求められます。
元の業務への復帰がむずかしいという理由だけで復職を認めなければ、労務トラブルに発展する可能性があります。

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過去には休職・復職を巡る労働紛争が数多く起きており、企業側が裁判で敗訴することも少なくありませんでした。
復職の可否は個々のケースで判断されるものではありますが、双方が納得した判断をくだすことが重要です。

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事業形態、雇用形態も会社ごとにさまざまです。
休職制度は法律で定められていないからこそ自社に合わせた休職制度の設計や復職支援プログラムの整備を行うことが大切です。
適切な休職制度を就業規則に定めることで、労務トラブルを避けることにつながります。
休職制度の見直しを行う場合や、新たに導入する場合は社会保険労務士など専門家にあらかじめ相談しておくことをおすすめします。

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※本記事の記載内容は、2023年10月現在の法令・情報等に基づいています。

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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/33261?office=Z17DLaHtybU%3D

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