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意外と悩む建物賃貸借契約の決めごと

2024年1月29日

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所持している不動産を賃貸物件やテナントとして貸す場合には、契約を巡るトラブルを防止するためにも、一般的に『建物賃貸借契約』を締結します。
土地や建物などの不動産取引は法令によって規律が定められていますが、建物賃貸借契約書の内容は意外と意識していないケースも多くあります。
今回は、建物賃貸借契約時に当事者間で定める骨子や、契約書に記載する理由、記載をするかどうか悩みがちな実務上の細かい内容について確認します。

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建物賃貸借契約に記載する主要な内容とは

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まず建物賃貸借契約書(以下、賃貸借契約書)の細かい決めごとを確認していく前に、建物を借りる際に当事者間で定める主要な契約内容について確認していきましょう。
賃貸借契約書には記載すべき事項は多数ありますが、簡潔にまとめると「賃貸借の目的」「期間」「賃料(共益費含)」というのが主要な決めごとです。
これらを決めないで契約締結することはできません。

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そのほか、更新時の更新料の取り決めや中途解約の定め、転借の禁止・賃借権の譲渡禁止、賃料増減額の取り決め等よくある条項についても、賃貸借契約書に記載することになります。
これらを賃貸借契約書に記載するのは、『民法』や『借地借家法』などにより定められているため一般的なことといえます。

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しかし、逆をいえば、これら賃貸借契約書に記載する主要な内容は賃貸借の目的や賃料、契約期間等の具体的な数字を除けば、契約書に記載をしなくても民事法の規定が適用されるので、本来問題のない内容になります。

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賃貸借契約書に記載する理由

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それでは、民事法上に定められている事項をなぜ契約書に記載するのでしょうか。この理由に関しては、次の通り大きく三つ考えられます。

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まず、一つ目の理由として、端的に賃貸人が賃借人に説明をする際、民事法により定められている内容を具体的に説明するのがむずかしいからという理由が考えられます。
世の中の多くの人は、民事法に関して精通しているわけではありません。
そのような人々に契約内容について説明する際、「民事法により定められているから」といった簡略すぎる説明では、賃借人は納得しづらいといえます。
法令について知見がない人でも賃貸契約の内容が理解できるようにするためにも、契約書に記載することが必要になります。

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二つ目に、民事法の記載よりも、賃貸人である自分に有利な契約にしようというケースも考えられます。
たとえば、一度注意をして是正されなかった場合、契約を解除できるといった『催告解除』を、より貸主側に有利にするため「無催告解除にする」といった民事法の修正を行うために記載することもあります。
この場合、賃借人が民事法自体を知らなければ、民事法を修正されていても自分に有利なのか不利なのか分かりません。
本来、知らぬ間に賃借人にとって不利な契約を締結させるようなことは、避けることが賢明です。

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三つ目は、民事法の規定に記載がないパターンです。
当然民事法も、不動産取引に係るすべての事例を網羅しているわけではありません。
むしろ、例外的や少数的なパターンや商慣習的な内容に関しては、規定をしていないことも多く、そういった内容に関しては、賃貸借契約書に盛り込まれることが少なくありません。
そして、このようなケースが実は最も悩ましいことが多いのです。
次に、詳しくみていきましょう。

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民事法に規定のない内容について

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民事法に規定のない内容(具体的な記載がない内容)としてよくあげられるのが、備品に関連するケースです。
たとえば、蛍光灯が切れたといった消耗品関連から、備え付けのエアコンが故障した等の修理や費用に関して、これらは民事法の規定では貸主側の義務といえば義務になりますが、具体的な規定はありません。
このような場合は、その建物を個人で借りているか、法人(ビジネス)で借りているか、一部屋借りているのか、もしくは一棟丸々借りているかなどによって、規定の内容が変わることが多いといえます。
具体例としては、個人の居宅として借りている場合や、一棟借のようなケースでは、蛍光灯が切れた場合は借主が対応するケースが多いでしょう。
一方で、賃借人が法人となるケースでは、蛍光灯が切れたという細かい場合でも賃貸人側が対応するケースが少なくありません。

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また、火事などに備えて、火災保険に加入するのを義務付けることも多くあります。
基本的にはどのような賃貸借契約にも当てはまりますが、特に法人やビジネスで賃借をする場合、高額な什器備品に保険をかけることを義務付けるのは一般的です。
これは、実際にトラブルが起こった際、賃借人から賃貸人や実際に火事を起こした隣人等への被害弁済の直接請求を防ぐといった紛争防止の意味合いが強いといえます。

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このような内容にとどまらず、民事法に記載のない内容を賃貸借契約書に記載することは非常に多くあります。
契約する際には、貸主および借主いずれの立場においても、どこまで契約書に記載をするのかをよく検討し、判断がつかない場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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※本記事の記載内容は、2024年1月現在の法令・情報等に基づいています。

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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/33659?office=Z17DLaHtybU%3D

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