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特定事業用宅地等に係る小規模宅地の特例の見直し

2019年1月8日

昨年末に2019年度の税制改正大綱が公表されました。今回は、この税制改正大綱のうち、相続税の申告に影響を及ぼす「特定事業用宅地等に係る小規模宅地の特例の見直し」についてご紹介させていただきます。

 

小規模宅地の特例とは、被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用または居住の用に供されていた宅地等を相続した場合において、一定の要件を満たすときに、その宅地等の評価額を限度面積の範囲内で最大80%減額できる制度です。

 

種々要件はありますが、相続開始直前の状況ごとに要約すると、以下のようになります。

 

・被相続人等の事業用宅地(特定事業用宅地等)  ・・・400㎡まで80%減額

・被相続人等の居住用宅地(特定居住用宅地等)  ・・・330㎡まで80%減額

・被相続人等の貸付事業用宅地(貸付事業用宅地等)・・・200㎡まで50%減額

 

小規模宅地の特例は、本来、被相続人等の事業または住居家屋への居住の継続に配慮して創設された制度ですが、上記のとおり、減額も大きいものとなりますので、本来の趣旨を逸脱した適用も見受けられました。

 

2019年度税制改正においては、特定事業用宅地等の特例について、特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されていた減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合を除く。)を除外する見込みです。

 

この改正は、2019年4月1日以後の相続等により取得する財産に係る相続税について適用される見込みですが、同日前から事業の用に供されている宅地等については適用されません。

 

なお、この改正は、2018年度税制改正における貸付事業用宅地等の特例に関する改正と同様のものとなっており、節税を目的とした駆け込み的な適用を防止するための措置とされます。特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等については、引き続き検討事項とされていますので、税制改正の流れに注視し、不動産の計画的な有効活用が必要と考えられます。

 

(投稿:新関)

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