ブログ

相続税の納税義務者

2019年9月21日

相続税を納めなければならない者について、近年改正が続いていましたが改正の動きが一段落したようなので、5つの区分をご紹介したいと思います。

5つに区分するうえでポイントとなることは、取得したすべての財産に対して相続税が課税されるのか、取得した財産で日本にあるものにだけ相続税が課税されるのかということです。

 

(1)居住無制限納税義務者

遺産分割や遺言により財産を取得して、その財産を取得した時点で日本に住んでいた次に掲げるものは、取得した財産のすべてに対して相続税が課税されます。

①一時居住者でない個人

②一時居住者である個人(故人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)

 

(2)非居住無制限納税義務者

遺産分割や遺言により財産を取得して、その財産を取得した時点で日本に住んでいなかった次に掲げるものは、取得した財産のすべてに対して相続税が課税されます。

①日本国籍を有する個人で次に掲げるもの

イ.相続より前10年以内に日本に住んだことがあるもの

ロ.相続より前10年以内に日本に住んだことがないもの(故人が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合を除く。)

②日本国籍を有しない個人(故人が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合を除く。)

 

(3)居住制限納税義務者

遺産分割や遺言により財産を取得して、その財産を取得した時点で日本に住んでいた個人で(1)以外のものは、取得した財産のうち日本にあるものに対して相続税が課税されます。

 

(4)非居住制限納税義務者

遺産分割や遺言により財産を取得して、その財産を取得した時点で日本に住んでいなかった個人で(2)以外のものは、取得した財産のうち日本にあるものに対して相続税が課税されます。

 

(5)特定納税義務者

相続時精算課税適用財産を贈与により取得していた個人は、遺産分割や遺言により財産を取得しなくても、その相続時精算課税適用財産を故人から遺産分割や遺言により取得したものとみなされて相続税が課税されます。

 

 

一時居住者とは相続時点で在留資格を有し、相続より前15年以内において日本に住んでいた期間が10年以下である人をいいます。

 

一時居住被相続人とは相続時点で在留資格を有し、かつ日本に住んでいた故人で、相続より前15年以内において日本に住んでいた期間が10年以下である人をいいます。

 

非居住被相続人とは相続時点で日本に住んでいなかった故人で、相続より前10年以内に日本に住んでいたことがあるもののうちその間日本国籍を有していなかった人、または相続より前10年以内に日本に住んでいなかった人をいいます。

 

この3つの用語は、日本に長期間住んでいなかったり、日本国籍を有していないような、日本との関係が薄い人のことを表しています。

 

財産を取得した人が日本との関係が薄くても故人が日本との関係が濃ければ、すべての財産に相続税が課税され、両者ともに日本との関係が薄い場合は、日本にある財産にだけ相続税が課税され、両者ともに日本との関係が濃ければ、すべての財産に相続税が課税されるイメージです。

 

財産を取得した人と故人をそれぞれの要件に当てはめていくことで、相続税を納めなければならないかどうかの判断基準を得ることができますので、財産取得時だけではなく少しさかのぼって状況の確認をすることが必要になると思います。

 

(投稿者:大岩)

お気軽にお問い合わせください TEL/03-3241-4856

メールでのお問い合わせはこちら