試用期間を設ける際に注意したいこと
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企業では新しく従業員を雇用する際に、試用期間を設けることがあります。
『見習い期間』や『仮採用期間』などとも呼ばれる試用期間は、その人の能力や適性を見るための期間で、期間中に特に問題がなければ本採用へと進みます。
これは、企業が従業員を試す期間である一方で、従業員にとっても企業の労働環境や社風を見極める期間でもあります。
双方のミスマッチを防ぐことができる試用期間ですが、誤った運用をしてしまうと、法令違反や労使トラブルになる危険性もあります。
試用期間を設けることのメリットとデメリット、そして注意点などについて説明します。
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試用期間を設けるメリットとデメリット
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従業員の選考過程においては、エントリーシートや履歴書、職務経歴書や適性検査、筆記試験や面接などで、応募者の能力や適性を判断することになります。
試用期間とは、これらの選考過程を通った従業員を本採用する前に、試験的に雇用する期間です。
本採用前の従業員に実際の職場で仕事をしてもらうことで、通常の選考過程だけでは判断できなかった業務の遂行能力や対応力、本人の性格などを確認できます。
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独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた『従業員の採用と退職に関する実態調査』では、およそ86.9%の企業が試用期間を設けていると回答しました。
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多くの企業で試用期間が設けられているのは、それだけ確かなメリットがあるからです。
もし、試用期間がないまま本採用して、その従業員が職場になじめなかったり、業務を遂行する能力に問題があったりした場合、双方にとってよい結果を生みません。
雇用した従業員がどういう人なのかを知るためにも、試用期間はとても大切です。
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また、従業員にとっても、自分が求めている職場環境か、希望している業務内容かどうかは、実際に働いてみなければわかりません。
企業と従業員の相性は実際に働くことでわかるものであり、従業員にとっても会社を見極める期間となります。自身の能力を発揮できそうか、長く活躍し続けられそうかを、試用期間のなかで判断できます。
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ただし、試用期間を設けることで、せっかく雇用した従業員が早期離職してしまうリスクもあります。
試用期間中の従業員は雇用されてはいるものの、本採用ではない不安定な状態です。そのため、より条件のよい会社の選考に通れば、その会社に移ってしまう可能性があります。
実際に働いてみて雰囲気が合わなかったり、入社前のイメージとかけ離れていたりする場合も退職につながります。
こうした人事面でのリスクをふまえたうえで、試用期間の設定を検討すべきでしょう。
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期間の設定と不採用の場合の取り扱い
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試用期間を設定する際に重要なのは期間です。
大半の企業は1カ月~6カ月間で設定しています。
試用期間の期限は法律で制限されていませんが、従業員の能力や適性を判断するうえで必要以上に長期で設定すると、公序良俗に反するとして無効になる場合もあります。
従業員の働くモチベーションが下がることもありうるので、あまり長期には設定しないようにしましょう。
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また、試用期間は正社員だけではなく、契約社員やアルバイト、パートなどにも設定することができます。
ただし、業種や会社の方針にもよりますが、アルバイトやパートに正社員と同じ試用期間を設けるのはあまり適切ではありません。
一般的にアルバイトやパートの試用期間は正社員よりも短く、1カ月~3カ月間ほどが多いようです。
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さらに、試用期間を設ける場合は、求人票や募集要項にその旨を記載する必要があります。
同時に試用期間中の労働条件なども明示しなければいけません。
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給与に関して、試用期間中は本採用時よりも低く設定できます。
ただし、最低賃金を下回ることは禁止されており、残業代や社会保険の加入などは通常の正社員と同じ待遇にする必要があります。
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そして、最も気をつけたいのが採用・不採用を決定する際の取り扱いです。
試用期間後に不採用の場合は通常の解雇と同じ扱いになり、30日前に解雇予告を行う必要があります。
もし、予告なしに解雇する場合は、30日分の平均賃金を支払わなければいけません。
一方で、試用期間を開始してから14日以内であれば、解雇予告などを行わずに解雇することが可能です。
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また、いかなる場合でも解雇するには「遅刻や欠勤を繰り返している」「勤務態度が著しく悪い」といった、社会通念上相当と認められる客観的で合理的な理由が必要です。
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試用期間といえども従業員は会社と雇用契約を結んでいるため、「会社の雰囲気に合わない」「必要な能力が不足している」といった理由で解雇することはできません。
会社側の都合だけで結果を決めると、場合によっては不当解雇で訴えられる可能性もあります。
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会社が求める人材を見つけ、スムーズに業務を開始してもらうためにも、試用期間は大切です。メリット・デメリットや注意点をきちんと踏まえて、試用期間の導入を検討しましょう。
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※本記事の記載内容は、2023年8月現在の法令・情報等に基づいています。
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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/32691?office=Z17DLaHtybU%3D