28年度税制改正①
28年度税制改正法案が、年度内に可決されました。
数回に渡り、改正のポイントをご紹介していきます。
実効税率 |
課税ベースを拡大し、税率を引き下げるとの考えの下、法人税率の引き下げ・外形準課税の見直しにより実効税率が下記になります
1 外形標準課税適用(標準税率)
平成27年度 | 平成28,29年度 | 平成30年度 | |
法定実効税率 | 32.11% | 29.97% | 29.74% |
2 外形標準課税適用外(標準税率)
平成27年度 | 平成28,29年度 | 平成30年度 | |
法定実効税率 | 34.33% | 33.80% | 33.59% |
- 外形標準課税とは、資本金1億円超の法人が対象となり、従来のように所得ではなく建物の面積、従業員数、売上規模を基準に法人事業税を課税する制度。
以前は、50%を超えていた実効税率が30%を下回るとは想像もできませんでした。
上記と引き換えに、資本金が1億円以下の中小企業が対象となっている税率軽減(課税所得が800万円までは税率が15%)が今後どうなるか心配です。
減価償却の見直し |
建物附属設備と構築物の償却方法が、定額法に一本化されました。
平成28年4月1日以降に取得する資産が対象になります。
早期の償却ができなくなり、毎期一定額になります。建物に続いての改正となります。数年後には、すべての資産が定額法に一本化されてしまうかも?
生産性向上設備投資促進税制 |
期限通り、平成28年度に縮減、平成29年度に廃止されます。
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | |
機械装置等 | 即時償却
5%税額控除 選択 |
50%特別償却
4%税額控除 選択 |
廃止 |
建物、構築物 | 即時償却
3%税額控除 選択 |
25%特別償却
2%税額控除 選択 |
廃止 |
また、中小企業が、法律の施行日から平成31年3月末までに生産性向上設備(160万円以上)を取得した場合に3年間に限り、固定資産税が半額になります。
この税制は、本当に活用されてきました。廃止が残念でなりません。
企業版ふるさと納税 |
地方公共団体が行う一定の地方創生事業に対して寄附を行った場合、現行の損金算入措置に加えて下記の税額控除が可能となりました。
いわゆる、企業版ふるさと納税制度です。
例えば、100万円を寄附すると現行制度では、損金算入することにより30万円程度の税の軽減効果がありましたが、今後はそれに加えて住民税から20万円、事業税から10万円程度の税額控除が可能となりました。 つまり2倍の軽減効果です。
いくつか条件もあります。
- 10万円以上の寄附であること
- 主たる事務所の所在する地方公共団体は、対象外
- 地方交付税の不交付団体は、対象外
- 市町村の場合、地方拠点強化税制の対象外の団体への寄附であること
事前に、この税制の対象になる地方公共団体か、必ず確認してください。
以前に、被災地に対する義援金の紹介を行いましたが、この制度を活用して、被災地の復興支援を行う企業が増加することを願っております。