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役員報酬は、いつ変更できる?

2016年12月26日

役員報酬は、いつ変更できる?

~損金算入するためのポイント~

 

取締役の報酬を決定したが、会社の財政状況等により変更を考えている方もいらっしゃると思います。

今回は、役員報酬を損金(税金上の経費にすること)にするためのポイントをご紹介します。

 

  • 一般的な検討事項

役員報酬を決定する場合、皆さんはまず、どのような事から検討されますか?

①事業計画を立案し、報酬の支払可能額を計算②キャッシュフローを最大化するために、個人と法人の税率を検討③所得税、住民税、社会保険料を控除した後の手取り額の算定④民間給与実態統計調査等から同業他社の酬基準の参照などなど、会社によって、検討事項はさまざまです。

そのような事情とは別に、会社法や税法では役員報酬の支払いに対して条件や制度が設定されています。

 

  • 会社法では

会社法では、「取締役の報酬等については定款に定めていないときは、株主総会の決議による」とされています。

しかし、実務上は定款で報酬を決めている会社はほとんどありません。

一般的には、株主総会で役員報酬の総枠を決定して、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねています。

 

  • 税法では

実は、知らない方が多いのですが、役員報酬は原則損金とはなりません。

下記のような、一定の場合のみ損金として認められます。

1.定期同額給与

「その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの」と規定されています。要するに毎月同額の給与を支払ってくださいという意味になります。

上述の通り、株主総会で変更したら定期同額にならないのか疑問が生じます。

そこで、上記に準ずるものとして事業年度開始の日から3か月以内に改定された給与も定期同額に該当するものと規定されています。

よって下記の例も、定期同額とされます

EX   3月決算法人  給与支給日6月20日 株主総会6月25日

従前の報酬50万円    7月20日より100万円に変更

 

2.事前確定届出給与

「役員に賞与を支給したい」と、ご質問をいただくことが多々あります。

支払うことは構いません。しかし、「損金にはならなくなってしまいます」といつも回答しているのですが、この制度を活用していただければ賞与も損金にすることが可能となります。

税務署に、支給する事前に一定の事項を記載した届出書を提出し、届出をした日に届出をした金額をきちんと支払えば、賞与も損金となります。

EX   毎月100万円の報酬→年俸1,200万円

事前確定届出を提出→毎月の報酬40万円 7月・12月 360万円の支払

最近は、社会保険料を削減する狙いもあり、事前確定給与制度を活用している会社も増加してきましたが、賞与が過大であると否認されるリスクも生じます。

充分に検討してから、導入してください。

 

3.利益連動給与

同族会社(3人以下の株主が、株式の50%以上を保有している会社等)でない法人が対象で、報酬の算定根拠が有価証券報告書に記載してある場合、利益に連動して算定通り支払った報酬については損金にすることができる制度です。

中小企業では、ほとんど活用されていないため、詳細については割愛します。

 

4.期中での増減

原則的には、役員報酬の期中の増減(定期同額に準ずる場合を除く)は認められません。役員報酬を増減させることにより利益操作をさせないためです。

しかし、下記の場合には変更が認められています。

①増額

取締役から、常務や専務などの役付になった場合や、非常勤から常勤となった場合には、職務内容が変更されたとみなされ期中での変更が認められます。

しかし、このような場合でも議事録の作成や不相当に高額ではないかについては検討が必要となります。

②減額

下記のような場合に該当すれば、減額が認められます

a)業績や財務が悪化して株主との関係を考慮し、責任を取るため

b)取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールのため

c)業績や財務が悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から

 

5 使用人兼務役員

部長など使用人としての職制上の地位があり、常時勤務している方は、一定の条件をクリアーすると、使用人兼務役員と呼ばれ賞与等が損金となります。

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