棚卸資産 2
こんにちは!ヨシママです。
今回は、前回の棚卸資産の続きですが、教科書が違いますので著書の考えも少し違ってきます。教科書の話ですので、相反する考え方が出てきた場合、より実務に近い方を採用すると良いでしょう。
仕入商品の原価
簿記上、仕入に当たっては損益を計上しないのが原則・・・商品は仕入原価で記入される。
仕入原価は多くの場合、売手に支払った送状値段であるが、ときにはこれ以外に仕入についていろいろの費用を要することがある。これを仕入諸掛り又は仕入付帯費という。
・ ・・引取運賃、関税、保険料
仕入に当たってこれらの費用を要したとき、これらを合算して仕入原価を計算し、商品勘定(又は仕入勘定)に記入する。
例)商品100,000円を外地より掛で買付けた。なおこれについての輸入関税20,000円を現金で納付した。輸入関税は仕入原価に加算した。
仕入 100,000 / 買掛金 100,000
支払関税 20,000 / 現金 20,000
仕入 20,000 / 支払関税 20,000
[備考]上の取引について、従来の簿記書では
仕入 120,000 / 買掛金 100,000
/ 現金 20,000
のように一括して仕訳されてきた。
しかしこのような処理方法は理論の上から、誤っており、実務的にみても無理がある。仕訳は取引を取引どおりに把握すべきである。
輸入関税を支払ったという取引(運賃、保険料なども同様)の仕訳は、借方(支払関税)が正しく、それ以外にはない。
これを最初から仕入勘定に借方記入すると、取引はありのままに把握されず、支払関税という費用が元帳で示されない。
なお、支払関税を仕入諸掛りとして仕入原価に加算する取引は、企業の内部取引であり、正しい仕入原価の計上のための振替である。
このためそれが仕入諸掛りであり、仕入原価に加算される費用であっても、まず取引どおりに費用勘定に記入し、次に仕入勘定への振替を行うべきである。実務的にみて、仕入諸掛り(たとえば運賃、保険料など)の金額の決定は商品の買付の時より、かなり遅れるのが常である。このため仕入と同時にこれを仕入原価に加算するがごとき処理は実務上は不可能である。
このように仕入諸掛りの商品原価への加算は、仕入の時以後における仕入原価の訂正記入となるから、商品有高帳に価格併記を行う制度の下では仕入原価が確定するまで価格記入を遅延させる結果となり、不便である。
このため、むしろ仕入諸掛勘定を設け、(商品勘定を商品種類別に設ける場合には、仕入諸掛勘定も必要に応じ商品種類別に設ける)、仕入諸掛りはこれに記入して集計し、事業年度末に諸掛りを、当事業年度の販売商品に負担させる金額と棚卸商品に負担させる金額とに按分し、前者は損失として処理し、後者は当該勘定(棚卸商品)で繰越すことが便利である。この繰越金額はBSでは繰越商品に合算して示す。
仕入諸掛りを商品の原価に算入する理由は
(1) 商品の原価とは、企業が商品を取得するために要した総原価であり
(2) もし商品の仕入付帯費を損失勘定に記入すると、それは当然仕入のあった事業年度の損失として計算される。この場合、その仕入商品がその事業年度中に販売されていれば、損益計算のうえから不都合は生じない。なんとなれば、仕入費用はその商品の販売益によって填補されるからである。しかし、その商品が仕入のあった事業年度に販売されず、次期に繰越されたときには、仕入のあった事業年度で仕入費用のみを損失として負担し、以降の事業年度でその商品の販売益のみを計上する結果となり、正しい期間計算の上からみて不合理であるとの理由による。