育児休業の円滑な取得・職場復帰を後押しする事業主を支援!
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仕事と育児の両立がいまだに難しい世の中です。
内閣府によると、依然として半数近くの女性が、第1子の出産を機に離職しており、場合によっては育児休業を取得せずに働き続ける女性も存在しています。
そこで厚生労働省は、育児休業を取りやすく、職場に復帰できる環境づくりに取り組む中小企業を後押しするため、『両立支援金』を支給しています。
今回は、この支援金の『育児休業等支援コース』の受給を検討するにあたり、押さえておきたい要件やポイントをお伝えします。
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両立支援助成金(育児休業等支援コース)
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【対象となる事業主】
本助成金は中小企業を対象とし、対象となる中小事業主の範囲は次のとおりです。
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●小売業(飲食業含む):資本額または出資額が5,000万円以下、または常時雇用する労働者が50人以下
●サービス業:資本額または出資額が5,000万円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下
●卸売業:資本額または出資額が1億円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下
●その他:資本額または出資額が3億円以下、または常時雇用する労働者数が300人以下
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【主な支給要件】
<育児休業等支援コース>
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休業取得時と職場復帰時の支給要件に関しては、以下の要件を満たした中小企業主が対象となります。
●『育休復帰支援プラン』の作成
●プランに沿った、労働者の円滑な育児休業の取得・職場復帰への取り組み
●育児休業を取得した労働者
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(1) 育休取得時・職場復帰時
A.育休取得時
●『育休復帰支援プラン』を作成し、プランに基づき、対象労働者の育児休業(産前休業から引き続き産後休業および育児休業をする場合は産前休業)の開始日の前日までに、プランに基づいて業務の引き継ぎを実施し、対象労働者に、連続3カ月以上の育児休業(同)を取得させること。
など。
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B.職場復帰時
育休取得時の助成金支給対象となった同一の対象労働者について、以下の取り組みを行うことが必要です。
●対象労働者の育児休業中にプランに基づく措置を実施し、職務や業務の情報・資料を提供すること。
●育休取得時にかかる同一の対象労働者に対し、育児休業終了前にその上司または人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録すること。
●対象労働者を、面談結果を踏まえ原則として原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6カ月以上継続雇用していること。
など。
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(2)業務代替支援
育児休業取得者の業務を代替する労働者を確保し、かつ育児休業取得者を原職等に復帰させた中小企業事業主が対象です。
●育児休業取得者を、育児休業終了後、原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定すること。
●対象労働者を上記規定に基づき原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6カ月以上継続雇用していること。
●対象労働者が3カ月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業を含む)を取得し、事業主が休業期間中の代替要員を新たに確保する(A:新規雇用)または代替要員を確保せずに業務を見直し、周囲の従業員により対象労働者の業務をカバーさせる(B:手当支給等)こと。
など。
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(2) 職場復帰後支援
育児休業から復帰後、仕事と育児の両立が特に困難な時期にある労働者のため、以下の制度導入などの支援に取り組み、利用者が生じた中小企業事業主が対象です。
●育児・介護休業法を上回る『A:子の看護休暇制度(有給、時間単位)』または『B:保育サー ビス費用補助制度』を導入していること。
●対象労働者が1カ月以上の育児休業(産後休業を含む)から復帰した後6カ月以内において、導入した制度の一定の利用実績(A:子の看護休暇制度は10時間以上(有給)の取得または B:保育サービス費用補助制度は3万円以上の補助)があること。
など。
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【支給額】
※以下の<>内は、生産性要件を満たした場合の支給額です。
生産性要件とは、助成金を申請する事業所において、『生産性要件算定シート』を用いて計算された生産性の伸び率が、『生産性要件』を満たしている場合、助成金の割増等を行います。
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(1)育休取得時・職場復帰時
A.育児取得時 28.5万円<36万円>
B.職場復帰時 28.5万円<36万円>
※A・Bとも1事業主あたり2人まで支給(無期雇用労働者1人、有期雇用労働者1人)。
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(3)業務代替支援
A.新規雇用 47.5万円<60万円>
B.手当支給等 10万円<12万円>
有期雇用労働者加算 9.5万円<12万円>
※1事業主あたりA・B合わせて1年度10人まで支給(5年間)。
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(4)職場復帰後支援
制度導入時 28.5万円<36万円>
制度利用時 A・子の看護休暇制度1,000円<1,200円>×時間
B・保育サービス費用補助制度 実費の2/3
※制度導入については、AまたはBの制度導入時いずれか1回のみの支給で、制度導入のみの申請は不可。
※制度利用は、最初の申請日から3年以内5人まで支給。1事業主当たりの上限は、A:200時間<240時間>、B:20万円<24万円>まで。
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【申請方法】
本社の所在する管轄労働局長に支給申請書類を提出します。
ただし、既に当該申請を行ったことのある事業主で、『提出を省略する書類についての確認書 (育児休業等支援コース)』に該当する書類について、既に提出している内容に変更がない場合は、当該確認書に記載、添付することで一部の書類の提出が省略できます。
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本助成金にはこれ以外にも細かい条件がありますので、詳細は厚生労働省のHPでご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html
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※本記事の記載内容は、2022年8月現在の法令・情報等に基づいています。
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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/30171?office=Z17DLaHtybU%3D