突発的な人員不足に陥ったら?『玉突き人事』のリスク
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『玉突き人事』とは、社内において担当者がいないポジションを埋めるために、別の社員を異動させ、その空いた穴をまた別の社員で埋めていく人事異動のことです。
急な欠員に対応するためには仕方がないとはいえ、ほとんどの玉突き人事は突発的に行われ、連鎖的な異動が発生するため、従業員間に混乱を招くことがあります。
今回は、やむを得なく玉突き人事を行う場合に、気をつけておくポイントを解説します。
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玉突き人事の縦パターンと横パターン
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従業員には自由に退職できる権利があります。
民法627条では、正社員など雇用の期間の定めのない従業員の退職は、申し入れから2週間と期間が定められています。
とはいえ、引き継ぎなどを考慮すれば最低でも1カ月前には把握しておきたいものです。採用活動に関して、会社側が退職してしまう社員の代わりを短期間で社外から探すことは難しいといえます。
特に、人材に余裕のない中小企業では、ほぼ不可能でしょう。
そのような状況のなかで、苦肉の策として、しばしば玉突き人事が行われています。
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通常の人事異動とは異なり、玉突き人事は本来の人事異動の時期ではないタイミングで行われることもあり、一般にはあまり望ましくはないとされています。
しかし、社員にとってはチャンスと捉えることもできます。
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玉突き人事には、上の抜けた穴を埋めるために下から連載的に昇進していく縦パターンと、部署内の欠員を別の部署から連鎖的に埋めていく横パターンが存在します。
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たとえば、部長が退職することになった場合に、部長のポストを埋めるために副部長が部長になり、副部長のポストを埋めるために次長が副部長になり、次長のポストを埋めるために課長が次長になるのが縦パターンです。
部長以下の役職に就いている社員にとってみれば、思わぬ昇進になり、役職に応じた昇給も期待できるでしょう。
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横パターンは、たとえば営業部の社員が退職することになり、その穴を埋めるために販売部の社員を異動させ、販売部の穴を埋めるために宣伝部の社員を異動させるというやり方です。
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さらに、営業部の部長が退職したので、その穴を埋めるために販売部の副部長を営業部の部長に据えるというような、縦軸と横軸を組み合わせたパターンも存在します。
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玉突き人事のメリットとデメリット
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玉突き人事の一番のメリットは、急な欠員に対応できることにあります。
退職はもちろん、病気や怪我などが原因で社員が突然離脱してしまうことは十分考えられます。
一時的な措置ではありますが、とりあえずは空いた穴を埋めることができますし、どうにか業務も進めることができます。
結果的にコミュニケーションの改善や、組織の活性化につながる可能性もなくはありません。
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しかし、メリット以上にデメリットのほうが多く、基本的に玉突き人事は避けるものであるという考え方が一般的です。
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玉突き人事のデメリットは、業務や人間関係のミスマッチが起きやすいことです。
社員の適正や能力などを第一に考えた異動ではないため、異動先でうまく適応できず、社員間のコミュニケーション不全を起こす可能性もあります。
また、突発的な異動になるため、社員も心の準備ができていないことが多く、大きな負担がかかるのもデメリットの一つです。
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このような状況では社員のモチベーションも低下し、それまでのキャリアパスが中断されることにもなりかねません。
特に、これまでの分野とはまったく異なる部署に異動してきた社員は、一から業務内容を覚えなければなりません。
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また、無計画な人事異動に不信感を募らせる社員も出てくるかもしれません。
そうなってしまっては、なんのために玉突き人事で欠員を補充したのかわからなくなってしまいます。
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やむを得ず玉突き人事を行う場合には、対象となる社員とよく話し合い、人事異動の背景や目的、期待していることなどを共有し、理解を求める必要があります。
昇給や業務内容なども話し合い、できるだけ社員の要望を汲み取るようにしましょう。
また、社外から新しい人材を補填するまでの一時的な異動に留めるのも、有効な手立てです。
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※本記事の記載内容は、2022年9月現在の法令・情報等に基づいています。
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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/30434?office=Z17DLaHtybU%3D