最低賃金の引き上げで事業者が受ける影響と有効な対応策とは
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2022年10月に最低賃金の改定が行われ、地域別最低賃金の全国加重平均は、昨年度の930円から、31円引き上げの961円となりました。
31円の引き上げは制度が始まって以来の最高額ですが、政府は全国加重平均について1,000円以上を目指す方針を打ち出しているため、今後も最低賃金の引き上げは続いていくと見られています。
企業側は、最低賃金以上の給料を従業員に支払わなければならず、最低賃金の改定にともない、給料の見直しや就業規則の変更など、さまざまな対応を迫られます。
そこで今回は、最低賃金が与える企業への影響や対応策などを考えていきます。
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最低賃金を下回っていた場合に必要な対応とは?
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最低賃金とは、最低賃金法に基づいて国が定めた賃金の最低限度のことで、すべての使用者および労働者に適用される地域別最低賃金と、特定の産業について定められた特定最低賃金の2種類があります。
地域別最低賃金は毎年10月に改定され、2022年は全国加重平均で961円、最高額は東京都の1,072円でした。
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企業は従業員に対して最低賃金以上の賃金を支払う必要があり、もし最低賃金を下回っていた場合は、過去にさかのぼって差額を支払う必要があります。
また、労使間の合意のうえで最低賃金以下の給料を支払う取り決めがされていたとしても、最低賃金法によってその契約は無効になります。
さらに、地域別最低賃金額を適用させない使用者には、50万円以下の罰金が科される可能性もあります。
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したがって、現行の賃金が最低賃金を下回っていないかどうか、確認する必要があります。
厚生労働省のホームページでは、最低賃金額以上かどうかを確認する方法が紹介されていますので、参考にして計算するのも一つの方法です。
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もし、最低賃金を下回っていた場合は、賃金の見直しを行い、最低賃金以上に変更する必要があります。
このとき、変更前に交わしていた労働契約を改めて締結する必要はありません。
一方で、就業規則で賃金を定めている場合には内容を変更し、常時10人以上の労働者を使用している事業場では所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。
その際、従業員には、労働条件通知書の再交付や辞令という方法によって周知しましょう。
使用者は現在の最低賃金額や効力発生年月日などについても、作業場の見やすい場所に掲示するなどの方法で周知する義務があります。
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人件費の増加に対応する助成金や相談窓口
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労働者の生活を守るための最低賃金制度ですが、企業は人件費の増加による経営圧迫や利益の減少、雇用の抑制などの影響を受けることもあります。
またこれらの影響により、正社員の負担の増大やモチベーションの低下などを招く可能性もあります。
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こうした最低賃金の引き上げによる諸々の影響をできるだけ少なくするために、企業はさまざまな面で見直しを行う必要があります。
人件費増加の対策としてまず考えられるのは、残業時間の削減や設備投資の抑制など、資金面の負担を軽減させるための取り組みです。
労働時間の可視化や業務効率を上げる工夫などで残業時間を減らしたり、レンタルやリースなどの活用によって設備投資を抑えたりすることで、人件費の増加分を補うことができます。
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また、国の助成金制度を活用するのも方法の一つです。
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企業の賃金引き上げを支援する『業務改善助成金』には、『特例コース』設けられており、2022年12月31日までに最低賃金を30円以上引き上げた中小企業および小規模事業者は、その費用の一部を国が助成します。
生産性向上のための設備投資にかかる費用も助成対象となるので、支給の要件を確認しておきましょう。
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非正規雇用労働者の処遇改善のための支援を行う『キャリアアップ助成金』は、契約社員など、一部の有期契約労働者等を対象に、基本給の賃金規定等を正社員転換コースは3%、賃金規定改訂コースは2%以上増額した事業者に、国が助成金を支給します。
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このほかにも、最低賃金引上げに向けたさまざまな公的支援が実施されています。
最低賃金引き上げの影響で資金繰りに悩んでいる事業者は、利用を検討してみましょう。
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※本記事の記載内容は、2022年11月現在の法令・情報等に基づいています。
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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/30887?office=Z17DLaHtybU%3D