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そのセット販売はOK? 違法な『抱き合わせ販売』との違い

2023年6月7日

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複数の商品を組み合わせて販売するセット販売は、効率よく売上を向上させ、消費者にもお得感を持ってもらえる手法であるため、さまざまな事業者が取り入れています。
しかし、状況によっては、独占禁止法で禁止されている不公正な取引方法である『抱き合わせ販売』とみなされる可能性があります。
自社の販売方法が違反にならないよう、抱き合わせ販売になるケースと、ならないケースを把握しておきましょう。

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独占禁止法違反になる抱き合わせ販売とは

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公正取引委員会事務局の『流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針』では、複数の商品を組み合わせることで、新しい価値を加えて商品を提供すること自体は健全な販売促進の方法の一つであり、独占禁止法違反になるわけではないとされています。

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独占禁止法違反となる抱き合わせ販売の例を紹介しましょう。
たとえば、商品Aの市場シェアが大きく、販売期間が長く、購入する取引先の数が多ければ多いほど独占状態が形成され、特に商品Bが差別化に乏しい商品の場合、商品Aとあわせて販売した効果は大きくなります。
このような場合、独占禁止法第19条で禁止されている『抱き合わせ販売』に該当すると認定され、公正取引委員会から、販売の差し止めなどの措置を命じられる可能性があります。

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抱き合わせ販売の事例としてよくあげられるのが、ゲームソフトの例です。
あるゲームソフトの卸売業者が、売り切れが予想されるような人気ソフトの発売に際し、在庫となっていた人気のないソフト3本の仕入を条件として、小売店へ商品を卸すという通知を出したことが抱き合わせ販売とみなされました。
このソフトは人気が非常に高く、一般の小売店はソフトを1本でも多く確保したい状況であったため、この卸売業者の条件を受け入れた店は相当数あり、小売店の商品選択の自由を妨げ、ほかの卸売業者間の競争を侵害し、競争手段として公正を欠くとされました。

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逆に小売店などを含む消費者の利益に反することなく、自由な商品選択ができるのであれば、不公正な取引方法には該当しません。
重要なのは、その商取引が不当かどうかです。
たとえば、個別でも購入することができる人気のソフト同士を組み合わせる販売方法であれば、消費者(小売店)が不利益をこうむることはないため、不当とは判断されず、独占禁止法違反にもなりません。

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不当かどうかは、ほかの取引状況などからも判断されます。
たとえば、入手しづらい人気ソフトと人気のないソフトを抱き合わせて卸したとしても、人気ソフトの供給量が十分にあり、ほかの卸売業者から単体で仕入れることができる状況であれば、消費者(小売店)はその業者から人気のソフトを仕入れればよいので、不当と判断されない可能性もあります。

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独占禁止法違反ではないとされた販売方法

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過去には、アイドルのいわゆる『握手券商法』も、抱き合わせ販売ではないかと批判を集めたことがありました。
握手券商法とは、アイドルのリリースするCDに、そのアイドルと握手できるイベントへの参加券となる『握手券』をつけ、CDの販売を促進するという商法です。
一見、抱き合わせ販売のようにも見えますが、握手券はあくまでCDのおまけであり、単体で市場に流通しているものではないことから、抱き合わせ販売とは認められませんでした。
仮に握手券がCDとは別に単独で購入でき、入手しづらい状況であったのならば、抱き合わせ販売と判断されたのかもしれません。

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抱き合わせ販売は、さまざまな業種で事例があり、商品だけではなく、サービスなどの役務も対象になります。

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過去には、建築用の建材メーカーが、建物に用いられる特殊な機能を有する建材を販売する条件として、使用者に自社が行う定期点検契約の締結を義務づけたことがありました。
いわば建材と定期点検の抱き合わせ販売といえるかもしれませんが、この商法も不当とは認められず、抱き合わせ販売には該当しませんでした。
安全性の面からも、建材の定期点検は顧客にとって不要なものではないというのがその理由です。
また、特殊な機能を有する建材ということもあり、定期点検を行えるのが建材を販売している建材メーカーのみで、他の競合企業が存在しなかったことから、ほかの競合企業の事業を阻害していないというのも大きなポイントでした。

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抱き合わせ販売は、消費者が不利益をこうむる場合と、競合企業の事業を阻害する場合に不当性が認められます。
たとえば上記のケースでは、ほかに同じような定期点検を行える競合企業が存在し、その競合企業の事業を阻害していたのであれば、抱き合わせ販売と判断されたかもしれません。

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商品と商品、商品とサービスを組み合わせて販売する手法は、必ずしも不正とみなされるわけではありません。
しかし、抱き合わせ販売と判断されると、公正取引委員会により、独占禁止法違反として販売差し止めや契約の削除などを命じられる可能性があります。
場合によっては課徴金を課す『課徴金納付命令』が出されることもあるため、商品と商品またはサービスを組み合わせて販売する際はその内容や近隣の販売状況、過去の判例なども確認し、注意することが大切です。

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※本記事の記載内容は、2023年5月現在の法令・情報等に基づいています。

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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/32256?office=Z17DLaHtybU%3D

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