『法定休暇』と『特別休暇』の違いを理解しておく
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従業員の休暇には、労働法で定められた『法定休暇』と、その企業が独自に設ける『特別休暇』があります。
年次有給休暇などを筆頭とした法定休暇は、従業員の求めに応じて、必ず与えなければいけない休暇です。
したがって、事業者は法定休暇についての付与日数や要件などを正しく理解しておく必要があります。
一方、特別休暇は必ず従業員に与えなければいけないものではありませんが、福利厚生の一環として導入している企業が少なくありません。
法定休暇と特別休暇の種類や日数、取得できる従業員の要件などを説明します。
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日数や要件が決められている法定休暇
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法定休暇には、年次有給休暇、産前産後休業、生理休暇、育児休業、介護休業、子の看護休暇などの種類があります。
事業者は従業員に対して、これらの休暇(休業)を付与する義務があり、休暇の取得に必要な要件を満たしているにもかかわらず、休暇を与えなかった場合は法令違反となります。
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年次有給休暇は、雇用した日から6カ月間継続して勤務し、所定労働日の8割以上出勤した従業員に付与する休暇のことで、付与する休暇の日数は勤続期間に応じて増えていきます。
勤続期間が6カ月の場合、年次有給休暇の付与日数は年10日です。
その後、1年6カ月で年11日、2年6カ月で年12日といった具合に増えていき、勤続期間が6年6カ月の従業員には、年20日の年次有給休暇を付与します。
また、正社員だけでなく、パートやアルバイトなど、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日が4日以下(週以外の期間によって所定労働日を定める労働者は、年間の所定労働日数が216日以下)の従業員に対しても、規定に沿った労働日数の年次有給休暇を与えなければいけません。
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年次有給休暇のほかに労働基準法では、第65条に産前産後休業、第68条に生理休暇も法定休暇と定めています。
産前産後休業と生理休暇はどちらも女性従業員を対象とした休業です。
産前休業は、当事者である女性従業員から請求があった場合、出産予定日をベースに、産前6週間(多胎妊娠は14週間)の休業を付与します。
産後休業は女性従業員からの請求がなくても、原則産後8週間の休業を付与する必要があります。
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生理休暇は、生理に伴う体調不良などによって、就業が著しく困難な女性従業員に付与する休暇のことです。
原則として、女性従業員からの求めがあった場合には、就業が著しく困難である証明がなくても、休暇を付与する必要があります。
日数に関しては、生理による苦痛や就業できる程度は個人差があるため、企業側で決めることはできません。
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育児休業、介護休業、子の看護休暇は、『育児・介護休業法』によって定められた法定休暇です。
育児休業は、原則として1歳未満の子どもを養育するための休業で、男女ともに求めに応じ、分割で取得させることが可能です。
介護休業は、要介護状態(負傷・疾病または身体上や精神上の障害により、2週間以上の期間に渡り常時介護が必要な状態)の家族がいる従業員を対象とした休業で、対象家族が一人の場合は年5日、二人の場合は年10日まで取得させなければいけません。
子の看護休暇は、小学校就学前の子どもを看護するための休暇で、従業員の求めに応じて、年5日(二人以上は年10日)まで取得させる必要があります。
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特別休暇を設ける際に注意しておきたいこと
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法律で定められている法定休暇に対し、特別休暇はその企業が独自に定めるものなので、取得の要件や日数などの制限はありません。
一般的な特別休暇は、慶弔休暇、病気休暇、夏季休暇、冬季休暇などがあり、厚生労働省が公表した『令和4年就労条件総合調査の概況』によると、何かしらの特別休暇を設けている企業の割合は58.9%でした。
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慶弔休暇は、従業員本人の結婚や、親族の忌引きの際に付与する休暇で、取得日数は通常1日~5日ほどに設定されています。
病気休暇は、病気になった従業員の通院や入院のための休暇で、休暇中は無給とするのが一般的です。
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夏季休暇や冬季休暇は、多くの企業が採用している特別休暇で、夏季はお盆の8月中旬に付与するケースが多く、日数は3~5日ほどになります。
冬季は年末年始の前後に付与することがほとんどで、土日祝日と組み合わせることで、5日~9日ほどの休暇を実現している企業もあります。
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このほかにも、特別休暇には、誕生日休暇やリフレッシュ休暇、ボランティア休暇などの種類があります。
特別休暇の付与は義務ではなく、日数や有給・無給も事業主が自由に決めることができます。
福利厚生として導入すれば、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上にもつながるでしょう。
ただし、取得の要件や対象者の範囲などがあいまいだと労使トラブルに発展する可能性もあるため、取得のルールや申請手続きを明確にしたうえで、就業規則に記載し、全従業員に周知することが重要です。
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まずは、法定休暇の種類や要件についてしっかり把握し、適切に従業員に取得してもらえるように企業として注意しておきましょう。
そのうえで、特別休暇を設けるのであれば、どのような休暇が自社の福利厚生として適しているのか、制度の設計と共に考えてみましょう。
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※本記事の記載内容は、2024年2月現在の法令・情報等に基づいています。
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参考文献:https://mi-g.jp/mig/article/detail/id/33762?office=Z17DLaHtybU%3D